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グラビア印刷とフレキソ印刷の違い

グラビア印刷とフレキソ印刷について、それぞれ仕組みや特徴などを解説します。
最後にまとめとして、グラビア印刷とフレキソ印刷の違いを提示します。

グラビア印刷とは

グラビア印刷とは、凹版印刷の一種で、あらかじめ印刷したい絵柄が彫り込まれた「版の凹み」にインキを転移させ、さらに版のインキをフィルムや紙のような基材に転写させる方式です。
グラビア印刷では有機溶剤が含まれたインキが使われており、その用途は、食品包装といったプラスチックフィルムの軟包装を始め、紙器など多岐に渡ります。カラー印刷の表現力の高さから雑誌のような出版物によく使われています。

グラビア印刷の仕組みを簡略化して解説します。

  1. 印刷したい図像を削り込んだ「凹み」版を用意します。
  2. 版の「凹み」にインキを流し込んでいきます(転移させます)。
  3. 凹み以外の部分にもインキが溜まっているため、余分なインキを「ドクターブレード」と呼ばれる刃で、掻き落とします。
  4. 版のインキを「基材」に転移させます。

ポイントは「凹み」にインキを流し込むということです。
この「凹み」によって「グラビア印刷」の特徴である「微細な濃淡の表現」が実現します。

グラビア印刷の特徴

グラビア印刷の大きな特徴としては、表現力の高さがあります。 特色を含め、幅広い色彩の表現ができるのはもちろんですが、特に濃淡の表現に強みがあります。 グラデーションの表現では、版の「凹み」の深さを変え、インキの量をコントロールすることで、微細な濃淡を表現できます。 そのため、写真などのグラデーション印刷を得意としています。

基材を選ばない点も特徴として挙げられます。薄く、伸びやすいフィルムにも印刷が可能です。

  • カラーの表現力が高く微細な濃淡を表現できる
  • 紙、フィルムなど様々な基材に印刷できる

グラビア印刷の課題

グラビア印刷はこれまで多くの企業に採用されてきました。
しかし近年では「有機溶剤」を用いたインキの使用が問題になっています。
実際に、有機溶剤に代表される、VOC(揮発性有機化合物)には、排出抑制がなされています。
溶剤を減らした水性グラビア印刷もありますが、それでも20%程度のVOCが含まれるものが多く、課題はあるというのが現状です。

有機溶剤は、環境や人体に悪影響を及ぼすこともあり、欧米ではグラビア印刷に変わり「フレキソ印刷」が主流になっています。
加えて、近年ではアジア地区でもフレキソ印刷機が広まっています。

フレキソ印刷とは

フレキソ印刷とは、凸版印刷の一種で、柔軟なゴムや樹脂で作られた版にインキを付着させ、紙やフィルム等の基材に転移させる方式です。 フレキソ印刷では、主に水性もしくはアルコール性の粘度の低い液状インキが使用されています。近年ではUVインキも使われるようになりました。

日本ではダンボールへの印刷を中心に導入が進んできましたが、欧米ではフィルムの印刷にも用いられています。
また米国では食料品包装の大部分がフレキソで印刷されており、ラベル・シールやフォーム印刷でもその適用フィールドが拡大しています。

フレキソ印刷の仕組みを簡略化して解説します。

  1. 印刷したい図像を「凸面」で表現した版を用意します。
  2. 版の「凸面」にインキを付着させます。
  3. 版のインキを「基材」に転移させます。

まるで「判子」のようですね。実際、凸面の絵柄が基材に吸着するという意味で、仕組みは判子と同じです。

フレキソ印刷の特徴

フレキソ印刷で用いられている版は、ゴムや樹脂でできており、グラビア印刷で使われる銅版に比べ、版に弾性があります。
これが、ダンボールをはじめ、凹凸のある素材に綺麗に印刷できるという、フレキソ印刷の特徴の一つになっています。

加えて、幅広いインキを使用できるという特徴もあります。
フレキソ印刷では、溶剤インキだけでなく、水性インキ、UVインキを使用できます。

またグラビア印刷に比べて、コストを抑えて速く製版できる点など「多品種小ロット」のニーズにも対応しやすいという強みがあります。

  • 凹凸のある素材に綺麗に印刷できる
  • 溶剤インキの他、溶剤の量が極めて少ない水性インキ(1%~)、UVインキを使用できる
  • 多品種小ロットでの印刷にも向いている

近年の環境意識の高まりから、溶剤の量が微小で済む水性インキ、UVインキを使用できるという点で、フレキソ印刷が注目されています。

欧米では既にフレキソ印刷が主流になっていますが、他方で日本ではあまり広まらなかったのは、かつてのフレキソ印刷には品質に課題があったからです。しかしフレキソ印刷技術は当時に比べ大幅に進化しています。

フレキソ印刷機は
進化している

近年では印刷品質が大幅に改善され、グラビア印刷と遜色ない表現ができるようになりました。
アナログ印刷機を次に購入する際は、グラビアだけではなく、フレキソ印刷機も是非検討いただきたいと思います。

まとめ

グラビア印刷とフレキソ印刷の違いは次の通りです。

グラビア印刷フレキソ印刷
種類凹版印刷凸版印刷
版の材料鉄、アルミゴム、樹脂
版の性質硬性軟性
インキ溶剤インキ
水性インキ(VOC20%程度)
溶剤インキ
水性インキ(VOC1%~)
UVインキ
EBインキ
環境負荷溶剤やVOCの使用量が多く
環境負荷が課題
環境や人体への影響を抑制した
SDGs時代の印刷方式

お勧めのフレキソ印刷機

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