技術発展は人材不足を補えるか?職人技への依存から最新技術の使いこなしに
ラベル印刷・コンバーティング業界に存在する
「2つの人材不足」
構造的な問題をいかに緩和するか?
忙しいときは人手が足りないし、かといって案件が落ち着けば人が余るのは受注産業の宿命。
高い収益性と安定した事業運営を両立するには?
高い技術を持った職人人材の高齢化、若手社員の離職率の高まり・人口減少。
目の前の人材不足を解決しながら企業として持続していくために技術が貢献できることは何か?
繁忙期のピーク負荷という人材不足
「人に頼らず」軽減できる会社は強い
受注産業であるが故に、忙しさには波があります。
しかし、忙しいからといって容易に人を増やすことも現実的ではありません。
閑散期は増やした人件費が負担となり、収益を圧迫します。
繁忙期にスポット人材を入れたとしても、自社の業務に不慣れな人材にできることは限られ、効果は限定的でしょう。
仕事が増えれば忙しくなるのは当然ですが、「受注量を減らさず、人を増やさず、忙しさのピークの現場負担を軽減する」方法を考える必要があります。
それができる会社は収益性が高く、不況にも強く、チャンスも逃さない強い会社と言えるでしょう。
高い技術を持った「職人」人材の不足
生産現場における「若手オペレーターの活用」が鍵を握る
アナログな世界では、経験により獲得された人の繊細な感覚が重要です。
高度な技術を持った職人人材の高齢化という問題も顕著です。
顧客からの要求は高まり続け、覚えることも増えています。職人技への依存度を軽減し、熟練者以外で完結できる範囲が拡大できれば経営の選択肢を拡げることに繋がるでしょう。
人材不足に呼応する形で、機械が進化しています
例えば、デジタルの印刷は「機械が人の感覚を代替すること」「オペレーションを簡単にすること」により、この2つの人手不足解消に寄与します。
人の感覚が重要なポイントとして、色と異常検知があります。
色については、デジタル印刷はインキの調合が不要、測色機による手作業での測定も不要で、インラインでのセンサー測定と色補正がサポートします。
オペレーションはアナログに比べ、かなりの簡易化が可能です。
版が無いのでジョブ替えの際に版胴の交換も不要、見当ずれのケアも不要。インキローラーや版の洗浄も不要。また、ジョブ替えオペレーション中に印刷機を物理的に操作する際、異常を人の感覚で検知するといった気を遣う部分も無くなります。
ジョブ替えの時間が圧倒的に短くなることで小ロットの差し込み案件の生産性が飛躍的に高まり、人手を必要とする業務量を減らすことに繋がります。
また、やはり特色インクを使いたいというシーンもあります。
そのようなニーズに対応し、特色インク部分だけアナログで印刷できるデジタル/フレキソのハイブリッド印刷機も存在しています。
後加工機も拡充され効率化を追求可能に
デジタルの印刷機はアナログ印刷機と異なり、ワンパス・インラインでの後加工ができないことがデメリットとしてありましたが、近年ではデジタル専用の後加工機も充実してきています。
レーザーによる超高速ダイカットは、従来マシニングセンタで切削加工により刃型を作る必要があった工程をデジタルで置換え、オペレーターに要求するスキルを軽減できます。
デジタル機で利用可能なコールド箔加工機、高速な小巻き機など、必要に応じて段階的に拡充していくことも可能であり、適用可能な案件の幅は拡がり続けています。
特殊仕様の箱詰に対応できる箱詰め機も
チューブ・缶・カートリッジの特殊仕様の箱詰めも、社会時勢から人に依存することのリスクが浮かび上がってきています。
少ない人数で事業が継続できることに対する投資は、有事に生き、結果、人も会社も守ることに繋がります。
顧客の要望に応える特殊仕様の箱詰めを自動処理する箱詰め機も登場しています。
まとめ:最新技術やデジタルをいかに使いこなすかが、企業の持続と発展に繋がる。
技術は人手不足と社会構造の変化を見据え、追従し進化しています。
これを活用しない手はありません。
もちろん、デジタルしか知らず、従来の仕事の仕方を全く知らないというのではポイントを外してしまうこともあるでしょう。
そのため漸進的に変化し続けることが大切と考えます。
従来の技術と、新しい技術、その両方の得意と苦手を把握しながら、改善を重ねることで持続と発展に繋がるでしょう。