ニーズの多様化がさらに加速多品種小ロットでの収益性確保が鍵
既に日本も「個」の時代
加えて感染症による激動が
ラベル印刷・コンバーティング業界に波及する
国内でも既に「大量生産・大量消費」の時代は過ぎ去り、個々人が自分の趣味趣向にあったものを選ぶ「個の時代」にシフトしました。
さらに新型コロナウイルスは社会の在り方を激変させ、2021年現在この流れはいっそう加速しています。業界にどう影響を与えているのでしょうか?
機を捉えたブランドオーナーの選択
例えば化粧品業界では新型コロナウイルスの蔓延により、インバウンドでの国内販売が消滅し厳しい状況に置かれています。それに対し経済産業省も「単価の高い高級品を」「海外に販売する」ことを提言しています。(経済産業省:化粧品産業ビジョン)
実際に化粧品大手メーカー各社は一様に高級路線に舵を切り、低価格帯ブランドは手放す動きも見られます。個々人のニーズにあった付加価値の高い製品を、複数のブランドラインに分け展開することで消費者のニーズを掴み、支持を得ています。
この傾向は様々な業界で生じています。
「昔とは案件の性質が変わった」
ラベル印刷・コンバーティング業界で何が起こっているのか?
利益が出る案件のボリュームが減り、増えているのは小ロットの仕事の打診。 しかし量産を前提とした機械で小ロット対応をしてしまうと、ジョブ替えの手間や資材ロスが大きく、儲からない。
顧客との関係性をつなぎとめるため、小ロット案件を受けざるを得ないが、ジョブ替えの手間の増加(残業増加)、資材ロスによる採算性の問題が生じる。設備の稼働率は上げたい、採算が取れるよう成立させたい、顧客は逃がしたくない。采配が極めて難しいのが今のコンバ―ティング業界と言えるのではないでしょうか。
多品種小ロット案件で利益がでない構造
これまでの生産設備(量産機)での小ロット案件を対応する場合、ジョブ毎の切り替えの手間(機械日稼働時間の増加=稼働率の低下)、ロットに対する資材ロスの増加(小ロットでも大ロットでも資材ロスは、ほぼ同量)から採算を合わせることは、難しい。
大ロットも併せて対応しなければならず、残業での対応を強いられる。
MISやワークフローを活用し、プリプレスまでは一気通貫に進む場合もあるが、印刷以降の負担は増大しています。
変化から生まれ台頭する
「これからの優良顧客」をいかに獲得するか
では小ロットは儲からないからと断り続けるのも得策ではありません。
チャンスを逃してしまう恐れがあるためです。
時代が大きく動くときは、新たなメインプレイヤーも生まれます。
多様化した消費者のニーズを掴み、それをメインストリームに引き上げる魅力のあるブランドが多く生まれています。
例えばインターネットやテレビショッピングを活用した単品通販は、小規模から数十億円と一気に販売量を伸ばします。それに伴い必要となるラベル印刷・コンバ―ティングのニーズも急増します。
また、一見ニッチに見える製品であっても、世相を捉えた製品とマーケティングにより、急成長し優良顧客となることもあります。これら企業は小ロットに向き合わなければ、それができる他社に奪われてしまうでしょう。
ラベル印刷・コンバーティング業界での生産設備は
利益を稼ぐ量産機と、小ロット機の相互補完で
稼働の最適化を
多品種小ロット案件でも利益を確保できる強い体制
デジタルのような新しい技術は、デジタル単体で考えるのではなく既存の資産と複合的に全体の最適化を考えることが得策です。
小ロット案件でも利益を出せる設備を持ちながら、収益の柱となるアナログ機での大量生産をしっかり安定受注すること。
そして、デジタルの価値を活かした新たな提案をブランドオーナーに向けて提供できることで、仕事の幅は確実に拡がることでしょう。