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シールラベル印刷におけるデジタル印刷とレタープレス・樹脂凸版印刷の違い

日本で初めてシール印刷が行われてから100年以上が経過し、その間に印刷技術も進歩しました。
シール・ラベル印刷は発展を続け、現在ではレタープレス・樹脂凸版印刷が主流な手法として用いられています。しかし近年デジタル印刷機が台頭しています。

歴史を持つ樹脂凸版印刷と、昨今のニーズに応えるデジタル印刷、それぞれ長所と短所があります。

当ページでは、デジタル印刷に焦点を当てながら、ビジネス面での観点も踏まえて、双方を比較して利点を見ていきます。

シール・ラベル印刷における樹脂凸版印刷とは

シールラベル印刷、中でも「樹脂凸版」を用いた印刷で、主な印刷方法は「樹脂凸版平圧印刷」です。

樹脂凸版平圧印刷は、凸面に図像・文字が彫り込まれた樹脂版にインキを乗せ、粘着剤のついた基材に印刷する方法を指します。

単色〜3色の表現に適している一方、細やかな網点での印刷には向かないと言われていましたが、ただしこうした点は改善が進んでいます。シールラベル印刷に限らず、かつての凸版印刷には網点の再現性が欠点でしたが、近年は版のデジタル(CTP)化によって、細やかな網点再現やグラデーション表現が可能になりました。

特徴

  • 濃く鮮明な輪郭、シャープな表現が可能
  • 単色〜3色に適している

「濃く鮮明な輪郭」や「シャープな表現」が、樹脂凸版平圧印刷の大きな特徴です。

印刷時に圧力をかけることで、中央のインキが縁に押し出されるため、縁にインキが寄ります。
こうして輪郭のインキが濃くなり、まるで縁取ったように「濃く鮮明な輪郭」が出来上がります。

文字などをシャープに仕上げたい場合は、樹脂凸版平圧印刷が適しています。

シール・ラベル印刷におけるデジタル印刷とは

シールラベル印刷におけるデジタル印刷は、デジタルデータを基材に直接印刷する方法を指します。
インクはCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、キープレート=黒)の4色をベースに、印刷機によっては特色インクを使えるハイブリッド機種もあります。

特徴

  • 版が不要
  • 取り扱いが容易

デジタル印刷の大きな特徴は「版が不要」という点です。
直接基材に印刷するという印刷方法のため、製版コストが掛からず、版を作る時間も不要なことから、素早い印刷が可能です。

また、デジタル印刷機はアナログ機と比較し、人の感覚・経験で習熟しなければならないことが少ないという特徴があります。操作もタッチパネルをはじめとするデジタル操作がメインのため、短期間で一通りの操作を覚えやすいようにできています。

ビジネス面での強み

デジタル印刷には下記強みがあります。

  • 小ロット対応に強い
  • 短納期に対応できる
  • 可変印刷が可能

小ロット対応に強い

デジタル印刷が小ロットに強いと言われているの理由として「版が不要なこと」「ジョブ替えの手間の少なさ」「原紙ロスの少なさ」があります。

まず製版工程が無いことで、期間の短縮が可能であり、コストも削減可能です。

また、版が不要なため、当然ジョブ替えの際も版替えが不要になります。
印刷前には基材やインキ・版のセッティング、色合わせ、見当合わせが必要ですが、デジタル印刷では最初に機材のセッティングと色合わせが行われ、そのまま印刷に入ります。これはかなりの工程が短縮されます。

さらに、原紙ロスが少ないという優位性があります。
デジタル印刷機の中には、ジョブ替え時ロス40mを保証しているものもあります。

樹脂凸版印刷などアナログ印刷の場合、どうしても試し刷りで、相応の調整が必要になります。納品物に含まれない試し刷りの基材コストやインクコスト、そして産業廃棄物として処理するコストを減らせることは、収益性を高めることに繋がるでしょう。

短納期

版レスであることは、納期の短縮にも貢献します。

昨今は信じられないスピードで時代が加速しています。刻々と変化する消費者のニーズにシール・ラベルの発注者は応えていかなければなりません。
短い納期で印刷物を提供できる場合、いち早く消費者に応えたい発注者の要望に応えやすいというメリットもあります。

可変印刷が可能

可変印刷(バリアブル印刷)は、印刷データの一部を置き換えて、一枚一枚内容の異なる印刷ができるというデジタル印刷ならではの強みです。

可変印刷はキャンペーンでのバーコード印刷用途や、業務上の管理用途に留まらず、工夫次第ではパッケージに別の価値を添えることができます。
そのため可変印刷の有効性に目をつけ、新たな価値創出が可能だと考える企業もあるようです。

可変印刷はデジタル印刷にしかない強みです。
コストの抑制や、納期の短縮だけではない、付加価値の創出に繋がる可能性を秘めています。

デジタル印刷技術の進歩と企業の創意工夫によって、シール・ラベルに新しい価値が加えるアイディアが生まれる日も近いかもしれません。

樹脂凸版印刷と
デジタル印刷の違い

双方の違いは次の通りです。

樹脂凸版印刷デジタル印刷
印刷方法版の凸面にインクを乗せて基材に転写する直接基材に印刷する
(版不要)
操作習得難しく練度を要する比較的容易
小ロット対応コスト高(版コスト、ジョブ替えコストと機会損失、原紙ロスコスト等) コストを抑制できるため
最適
納期対応努力が必要比較的容易
可変印刷不可可能

かつてはデジタル印刷へのネガティブな意見として「小ロット、短納期というが、加工があるケースはコストが割高になる」という声もありました。

現在は後加工機の充実によって、こうした課題は解消されています。
デジタル印刷機と接続し、インラインで後加工までノンストップで対応できる機種もあります。この場合、印刷したロールを受け取りそのまま加工できるため、よりスピーディーな印刷が実現します。

またデジタル印刷の大きな強みとして、印刷オペレーターの確保がしやすいという点も挙げられます。

印刷オペレーターの業務は高度な職人技を要するため、人材育成に時間が掛かります。
しかしデジタル印刷機を導入することで、業務が簡易化し、新しい人材を採用するハードルも下がるでしょう。

樹脂凸版印刷はシール・ラベル印刷の中心にありましたが、デジタル印刷もかつての課題を解消し、技術的に目覚ましい発展を遂げています。
可変印刷が可能な点などデジタル印刷にしかない強みもあるため、今後はデジタル印刷を導入して、時代の潮流に乗り、新しい価値を生み出す企業が増えそうです。

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